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ウォールームとは?インシデント対応におけるメリットとベストプラクティス

2025.01.31更新
    ウォールームとは?インシデント対応におけるメリットとベストプラクティス

    大規模インシデントの発生時には、SME(内容領域専門家)を招集し、事態をできる限り早急に収束させる必要があります。
    インシデント対応におけるチームコラボレーションの改善を模索している企業にとって、状況を一変させる良策になり得るのが「ウォールーム」です。

    この記事では、インシデント対応におけるウォールームのメリットや開設を判断するポイント、環境別のベストプラクティスを紹介します。

    ウォールームとは?

    ウォールームとは、大規模インシデントを解決するために、対応者とステークホルダーが対面またはオンラインで集結する場所のことです。
    全員が同じ場所に集まることで、連絡漏れやコーディネーション遅延を減らせます。

    テクノロジー分野におけるウォールームは、アジャイル手法の重要な要素として生まれました。
    アジャイル手法は、効率的かつ有効な製品を、短いサイクルで開発するという価値・原則に基づいているものです。この手法では、協力的なチーム内での適応力やコミュニケーションなどが重要視されます。
    ウォールームは、これらの能力を向上させ、インシデント期間のチームの速やかなコミュニケーションと適応を促します。

    「ウォールーム」というと、語源である軍事、モニターが張り巡らされた部屋、NASAの管制室を思い浮かべるかもしれませんが、ここ数年でそのあり方は一変しました。
    リモートワークが普及する前は、大規模インシデントに対応する際、オフィス内の会議室などを物理的なウォールームとして設置するチームが多くありました。

    しかし、多くの企業が分散型チームの運営に移行したため、このようなウォールームのあり方は減りつつあります。
    そして、多くのチームが仮想的なウォールームを採用し、対応中のコミュニケーションをとるようになったのです。

    ウォールームを設けるメリット

    ウォールームは、インシデント対応において重要な、対応者間のコミュニケーションと適応性の強化に役立ちます。
    物理的か仮想的かを問わず、ウォールームには以下のようなメリットがあります。

    必要な人員を集められる

    大規模インシデントが発生すると、複数のチームが対応に関わるのが一般的です。
    ウォールームは、複数のチームを取りまとめる場となり、SMEが一丸となって対応にあたれます。

    コミュニケーションを迅速化できる

    ウォールームに集まることで、対応者間のコミュニケーションの明確化と迅速化を実現できます。
    複雑な問題に対応していると、疑問や提案が出てくることもあるでしょう。ウォールームでは、それらを速やかにほかのメンバーに伝えられます。

    また、インシデントが進行すると、その概要、スコープ、チームなども変わってきます。
    大規模インシデントが単純な性質であることはほぼありませんが、ウォールームでは、インシデントの変化について素早く周知されます。そのため、チームは新たなアクションプランを素早く練り直せます。
    電話による伝言で、重要な情報が抜け落ちてしまう事態も防げるでしょう。

    対応に専念できる

    通常の業務中では、チームメイトに話しかけられたり、会議に招集されたりして、作業が中断されることがあります。
    しかし、大規模インシデント発生時には、そのようなことに関わっている時間はありません。
    ウォールームを設置していれば、部外者が足を踏み入れてはいけないことが明確になるため、対応者は誰にも邪魔されることなく対応に専念できます。

    ステークホルダーに最新情報を提供できる

    ステークホルダーは、問題の解決に積極的に関与しないこともあるでしょう。
    しかし、社内のほかの局面での調整を行なうために、何が起きているかを把握する必要があります。
    ウォールームで対応を行なえば、個々の対応を追跡することなく、ステークホルダーに定期的に最新の状況を伝えられます。
    加えて、ステークホルダーが情報の発信元を把握できるので、無駄な問い合わせが発生しません。対応者の作業が中断される事態も減るでしょう。

    ウォールームの開設を判断するポイント

    一般的な社内会議とは異なり、ウォールームの目的は、重大なインシデントを解決して影響を抑えることただ1つです。
    インシデントの発生は予測不能なため、会議と違って事前にスケジュールを組めるものではありません。そのため、あらかじめオフィスにウォールーム用の場所を準備しておくか、オンライン環境を整えておく必要があります。

    ただし、すべてのインシデント対応にウォールームの開設が適しているとは限らず、ウォールームを開設するか判断するための目安が必要です。
    ウォールームの開設については、インシデントが次に該当するかどうかを目安にするとよいでしょう。

    優先度の高いインシデントが発生した場合

    優先度の高いインシデントが発生した際には、ウォールーム開設が必要です。
    緊急性の低いものについては通常どおりに担当チームでも対応できますが、状況によってはウォールーム開設が適している場合もあります。

    複数の部門が連携しながら対応を行なう場合

    インシデント対応に多くの人員が必要で、各部門が連携しながら対応にあたる場合には、ウォールームを開設したほうがよいでしょう。
    同じ問題に対して複数のチームが別々に動いてしまうと、コミュニケーションの行き違いや、問題の長期化などが起こる可能性があります。

    しかし、ウォールームはすべてのチームに素早いコミュニケーションと適応を促すため、一体となって問題解決に取り組めるのです。
    1つのインシデント対応に3つ以上のチームが あたる場合にも、チーム間の連携を促進するためにウォールームが必要となることがあります。

    ウォールームのベストプラクティス

    ウォールームの効果を最大限に高めるためのベストプラクティスを3つ紹介します。
    オンサイト・オフサイトを問わず該当するような重要なベストプラクティスもあれば、特定の環境にのみ適用されるものもあります。シチュエーション別に見ていきましょう。

    すべてのウォールームに適用されるベストプラクティス

    • 人数をできる限り絞る:ウォールームに参加する人数が増えると、複雑性が増します。そのため、誰かメンバーを追加する際は、「問題解決にこの人の力が本当に必要か?このインシデントはこの人の仕事に直接的な影響を与えているか?」ということを考えましょう。
      ウォールームは素晴らしい学びの場ではありますが、誰もが参加できるわけではありません。
      時間は貴重です。少人数のグループのほうが、効果的に対応を進められます。
    • 初期段階で役割と責任を定義する:最も重大なインシデントでは、インシデントコマンダー、補佐、記録係などの役割を割り当てます。これにより、全員が状況を把握して当事者意識を持てるようになるほか、インシデント発生時のコミュニケーションと意思決定の合理化に役立ちます。

    インシデント対応のフォーメーションについては、以下の記事でも解説しています。
    インシデントコマンダーとは?〜現代のIT運用には必須!その役割と理由〜

    • ステークホルダーへの情報アップデートの見込み頻度を設定する:インシデントの影響度によっては、ステークホルダーがウォールームに出入りします。ステークホルダーから最新情報の提供が求められたら、対応者の作業が中断されかねません。作業中断を防ぐためには、ステークホルダーに情報更新のタイミングを知らせるのが有効です。問題解決まで30分おきに状況報告をする場合には、ウォールームの全員にこれを周知することで、報告に要する時間を節約できます。

    オフィスに設置したウォールームに適用されるベストプラクティス

    • 対応者が効率的に作業できる場所を選ぶ:対応者は、インシデントが解決するまでウォールームに缶詰めになることがあります。しかし、水分補給や食事、用を足すためなどに席を外すこともあるでしょう。
      ウォールームは、できる限りアメニティに近い場所に設置し、対応者がオフィスの端まで移動せずに済むようにします。
    • 備品や環境を整える:対応時に必要なホワイトボードや筆記用具などの備品は、事前に用意しておきましょう。ものを探し回る時間を節約できます。

    また、目的に応じてウォールームの環境を整えることも大切です。
    共有スペースにソファやリラックスチェアを置けば、休憩して心身を休めることができます。個室や個人用作業スペースがあれば、そこにいる人は作業に集中したいことがわかるでしょう。
    同様に、コラボレーションに適した環境作りを行なうことも必要です。ホワイトボードを設置したり、誰もが意見を言い合えるように対面式のテーブルを置いたりするとよいでしょう。

    仮想的ウォールームに適用されるベストプラクティス

    • 予備のコミュニケーション方法を設定する:インシデントによっておもなコミュニケーション手段がダウンした場合に備え、代替手段を用意しておきましょう。関係者が慌ててビデオ会議のリンクを探したり、メールを多数送信したりする必要をなくすため、代替手段については周知・文書化する必要があります。
    • 使用するツールを確定する:インシデント対応時にツールやインシデント管理のプラットフォームを使う場合、全員が使い方を知っているかを確認しましょう。実際に必要になるときまでにトレーニングを実施し、インシデント対応中にツールの使い方を学ぶことがないようにします。
    • コミュニケーションガイドラインを策定する:コミュニケーションに使用するツールは重要ですが、使い方も重要です。どのようなコラボレーションが期待されるかを文書化しておきましょう。
      例えば「考えを発信したいときは個別にダイレクトメッセージを送信するのか、それともビデオ会議を開くべきか?」「ステークホルダーへのアップデートはメールで行なうか、メッセージツールを使うのか?または時間を決めて仮想的ウォールームで落ち合うのか?」といったことです。
      あらかじめ、これらについて定めておくことで、混乱を防げるでしょう。

    ウォールームを用いたインシデントの迅速な解決には、指揮をとるインシデントコマンダーの役割が必要です。
    以下の記事では、インシデントコマンダーの業務について深堀りしています。
    インシデントコマンダー業務解説~仕事の流れと必要な資質~

    まとめ:ウォールームで迅速な重要インシデント対応を実現させよう

    ウォールームはインシデントの迅速な解決に有効であり、顧客の信頼を高め、企業の利益を守ることにつながります。
    ウォールームのメリットや開設するタイミング、自社のニーズに合った設置方法を理解して、有効活用しましょう。

    「PagerDuty」には、ウォールームが物理的か仮想的かを問わず、コラボレーションの促進、MTTRの改善、インシデントへの柔軟な対応に大いに役立つプラットフォームがそろっています。インシデントを検知した際に、SlackやTeamsなどへ専用チャンネルを作成するなど、必要な環境の自動生成が可能です。
    ウォールームの開設またはご利用中のウォールームの改善を検討されている場合は、「PagerDuty 」の14日間無料トライアルをお試しください。大規模インシデントの対応をいかに改善できるか、確かめられます。

    「PagerDuty」に関する資料や導入事例は、以下のページからダウンロードいただけます。
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