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本番環境とは?開発環境やステージング環境との違いについても解説

2025.01.20更新
    本番環境とは?開発環境やステージング環境との違いについても解説

    本番環境について「システムやアプリケーション開発における過程のどの部分に当たるのかを知りたい」「日頃、アプリケーションやITサービスの開発を担っているため、本番環境について再認識したい」という方もいるでしょう。本番環境とは、リリース前の最終段階に当たり、開発したシステムやアプリケーションを実際に動かすことを指します。英語では「production environment」と表記することから、これを略して「Prod」と呼ばれることもあります。その他、日本においては「プロダクション環境」もしくは単純に「プロダクション」と呼ぶケースも見受けられます。

    この記事では、開発環境やステージング環境との違い、本番環境を構築するメリットをわかりやすく解説します。

    本番環境とは?

    本番環境とは、開発したソフトウェアや製品を実際にクライアントが利用する環境と同じ条件で動かすことです。ソフトウェアの開発では、開発環境やステージング環境でのテストを経て、最終的に本番環境へ「デプロイ」または「デプロイメント」を行います。本番環境へのデプロイの前には、すべてのテストが完了し、すべてのバグが修正された状態でなければなりません。

    エンドユーザーが新しい製品や機能を目にし、体験し、そして実際に利用する環境が本番環境です。開発環境では複数のバージョンの製品やアップデートが存在する可能性がありますが、本番環境では混乱やセキュリティの脆弱性を避けるため、最終バージョンのみが存在します。本番環境において、サイトやシステムの信頼性をアップしたい方は、SRE(Site Reliability Engineering)を取り入れるとよいでしょう。SREのプラクティスを実践することにより、監視や運用を効率的に進められます。

    参考記事: 「SRE(サイト信頼性エンジニアリング)」とは? 〜DevOpsとの関係・実践ポイントを解説〜

    本番環境と異なる開発環境・ステージング環境の役割

    本番環境と開発環境、ステージング環境は、ソフトウェアや製品の開発過程を示す言葉ですが、それぞれ役割が異なるのが特徴です。例として、これらを音楽バンドがライブコンサートを開催するまでの過程に置き換えるとしましょう。この場合、開発環境が練習ステージング環境がリハーサル本番環境がライブコンサート当日に当たります。つまり、本番環境を実行するうえで、開発環境とステージング環境はそれぞれ重要な役割を担っているということです。

    それでは、開発環境とステージング環境が実際にどのような役割を担っているのか、詳しく見ていきましょう。

    開発環境とは

    開発環境とは、エンジニアがシステムに関するソースコードの記述や修正を行ない、開発中のシステムが動作するかどうかをチェックするまでの過程のことです。開発チームのコンピュータ上、もしくは独立して構築された作業環境であり、新機能の実験やアップデート、改善を製品に影響を与えることなく試すことができます。バンドの例でいうと、開発環境は練習場所のようなものです。バンドはここで新曲を生み出し、作曲し、さらにそれを磨き、練習し、問題があったら解決します。

    デプロイ環境への移行に先立って、新機能のテストや修正を行ないますが、システムやアプリケーションの開発に複数のエンジニアが携わっている場合は、開発環境の段階で各コードを結合します。本番環境ではエラーやバグが出ない状態でなければならないため、開発環境でそれらを修正します。そして、修正後にテストを行ない、問題がなければステージング環境へと移行します。

    ステージング環境とは

    ステージング環境とは、開発したシステムを本番環境にデプロイする前に、本番環境と同じ条件で検証を行なう過程のことです。バンドの最終リハーサルのように、本番環境でのパフォーマンスを想定した環境です。ここでは、エンドユーザーが実際に目にする製品版とほぼ同じ状態でテストを行います。

    本番環境と同じ条件で検証を行なうため、本番環境と同等のサーバーなどを使って検証を行ないます。エラーやバグの多くは開発環境の段階で修正されているため、基本的には短時間で完了します。例えば、ビデオゲームのベータ版のように、いくつかの軽微なバグは存在するかもしれませんが、全体的にはゲームが意図したとおりに動作する状態を指します。

    インフラストラクチャ戦略を採用するメリット

    開発環境とステージング環境、本番環境の一連の流れのような、インフラストラクチャ戦略を取り入れることで、以下のメリットが得られます。

    • ビルド、テスト、デプロイを異なるフェーズで実行できるため、開発したシステムやアプリケーションの質を確保できるようになる
    • システムやアプリケーションに影響を与えることなく、新機能の追加や修正、改善をテストできる
    • デプロイ前に提供する環境に近い状態で適切に機能するかテストできる
    • 本番環境に移行後、最高のユーザー体験を提供できる状態でクライアントへ提供できる
    • 製品リリースの品質管理を完全にコントロールしながら、改善とイノベーションを促進できる

    このように、インフラストラクチャ戦略では改善や修正をその都度行なうことが可能です。そのため、リリース後のエラーやバグのリスクを低減でき、システムやアプリケーションの質を向上させられます。

    本番環境を構築する場合の注意点

    本番環境を構築する際は、以下の点に注意が必要です。

    • ステージング環境で必ずテストしたものを本番環境に構築する
    • 最終的な動作確認を徹底する
    • すべてのテストが完了し、すべてのバグが修正された状態であることを確認する
    • 本番環境稼働後に、インシデントへ迅速に対応できるようにしておく

    本番環境では、開発したソフトウェアや製品を、実際にクライアントが利用する環境と同じ条件で動かすのが目的です。ユーザーは完璧な動作を期待してやってきます。そのため、開発したばかりのシステムを本番環境に配置すると、ユーザー体験に影響を及ぼす不具合を含んでいる可能性があります。必ず、ステージング環境でテストしたものを本番環境に配置しましょう。

    また、本番環境では、年々増加傾向にあるシステム障害に迅速に対応できるよう、インシデント管理ができるツールを導入しておくと安心です。システム障害が発生すると大規模な損失につながる可能性が高いため、障害発生時にはできる限り早く復旧する必要があります。本番環境にインシデント管理ツールを導入しておけば、迅速に解決できる可能性が高まります。

    インシデント管理について詳しく知りたい方は「インシデント管理とは?〜システム障害を未然に防ごう〜」をご覧ください。
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    まとめ:本番環境ではユーザー体験を最優先に、インシデントにも対応できるシステムの構築が重要


    本番環境とはリリースに至るまでの最終段階で、開発したシステムやアプリケーションを実際に動かすことを指します。ここでは、すべてのテストが完了し、バグが修正された完璧な状態であることが求められます。システムやアプリケーションの開発時は、インフラストラクチャ戦略を採用することで、リリース後のエラーやバグの発生リスク低減、システムやアプリケーションの質向上につながります。本番環境に移行する際は、開発環境とステージング環境でしっかりと修正やテストを行なうようにしましょう。

    また、本番環境へ移行する際は、近年増加傾向にあるシステム障害への対策を講じることが重要です。インシデント管理だけではなく、未然に発生を防ぐためのリスク管理についても把握しておくとよいでしょう。

    リスク管理については「ITリスク管理 (マネジメント)の必要性を解説!〜障害発生に備える必須対策〜」をご覧ください。
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