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現代のシステム運用を取り巻く課題 / 現場エンジニアを救う処方箋とは?
システムが複雑化し、その変化も加速する中、システム運用を担う現場エンジニアの負荷は日々高まっています。
「インシデント対応」を例に、具体的に現場でどのような課題があるのかをご紹介。
そして、それらの課題をPageDutyがどのように解決できるのか、デモを交えて解説します。→ PagerDutyの資料をみる(無料)
DevOpsやアジャイル開発では、「開発者と運用者が協力して、柔軟かつスピーディに」システム開発を行うため、進捗状況を測るのが難しく、手直しが発生するリスクを抱えています。このような状況で有効と考えられるのが、「レトロスペクティブ」です。レトロスペクティブとは、DevOpsやアジャイル開発の中での「振り返り」のことで、特に「セイルボート・レトロスペクティブ」を実践することで、プロジェクトを円滑に進められます。
本記事では、レトロスペクティブのなかでもシンプルで効果的な手法「セイルボート・レトロスペクティブ(ヨットを使った振り返り)」をご紹介します。「セイルボート・レトロスペクティブ」をインシデント対応に活用することで、起こりうるインシデントの予防や、将来的な体制の改善に繋げることが可能です。これからDevOpsやアジャイル開発における「振り返り」で悩まれている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
DevOpsやアジャイル開発に携わったことがあるとしても、「セイルボート」という単語を聞いたことがない人もいるのではないでしょうか。まずはセイルボートがどういったものなのかをご紹介します。
セイルボートとは、スクラムのレトロスペクティブ(振り返り)手法の一つです。海外で著名なフレームワークであり、テンプレートも豊富に用意されています。実施方法は、海に浮かぶヨットをイメージしたイラストに付箋を貼っていくという、非常にシンプルな内容です。同じ船に乗り合わせたチーム全員で1つの島を目指すことをイメージすれば、セイルボートを実施する目的も見えてくるでしょう。
セイルボートという名前に沿って、海に浮かぶヨットをイメージしたイラストに、付箋を貼り付けていきます。イラストには帆船のほかに、岩礁や錨、雲なども描かれるのが特徴です。セイルボートを実施するにあたって、特定の知識やスキルの成熟度は求められません。そのため、誰でも簡単に取り組めるのが魅力の一つといえるでしょう。
DevOpsやアジャイル開発では、スプリントを繰り返すことで継続的に改善し、品質を高めていきます。そのためには、建設的なフィードバックが必要です。セイルボートを実施することで、スプリントプロセスを最適化する改善案が得られるでしょう。スプリント中の開発メンバーは作業に追われているため、話し合いの場に参加したり問題点を共有したりするのが難しい状況です。しかし、継続的な改善には、有益な意見交換が必要になります。すべての人がアイデアを出し、意思決定に参加するなど、フラストレーションを抱え込まずに開発を進めていくことが大切です。
※スプリント……アジャイル開発の基準となる考え方。タイムボックス(1週間~2週間を基準とした期間)を設定し、タイムボックスごとに仕様設計や開発・リリースを行なう。
アジャイル開発のレトロスペクティブにセイルボートを採用するメリットは、こまめな振り返りによって感じたことをすぐに共有できる点です。具体的な改善策を忘れないうちに次のスプリントで実行できるため、改善点が先延ばしになるリスクが低いと考えられます。 また、全員が平等に参加できることから、エンゲージメントの維持にも効果的だと考えられます。チームが順調に進んでいくためにも「セイルボート レトロスペクティブ」をぜひ試してみてください。PagerDutyで実践して成果に繋がった4つのステップをご紹介しましょう。
チームメンバーが対面で集まれる場合は、まず海に浮かぶヨットの絵を紙の中央に描き、その上下に太陽、雲、岩、島などを描いていきます。絵を描く代わりに、ホワイトボードや壁の空いたスペースに写真を貼ってもよいでしょう。
チームがリモートでミーティングを行う場合は、タスク管理ツールの「Trello」などを使ってみましょう。まず、ボード背景をヨットの絵または写真にカスタマイズします。次に太陽、錨、ヨットを前進させるもの(追い風など)、岩などの名前をつけたリストを作成し、それぞれの中にカードを作ります
注:今回、オリジナルのセイルボート手法には存在しない、太陽を加えてみました。プラス面にも着目して達成感を高めるためです。「今すでにうまくいっていることがある」という認識は、チームが結束力を高めるうえで効果的です。
太陽:今すでにあるプラス面
錨:プロジェクトの進行を妨げる障害(例:サイロ化した組織)
岩、海賊:プロジェクトの中断につながる障害やリスク。のちに後々顕在化する可能性のある問題を事前に認識できて良かったとコメントしたチームもあります。(例:大型プロジェクト進行にともなう予算承認)
風、雲:チームを助け、目標達成の推進力となるもの(例:プロジェクトの方向性やビジョン、ステークホルダーのフィードバックなど
チームメンバーに対し、次の3つに対する質問の回答を各自5~10分間、他のメンバーと相談せずに考えてもらいましょう。回答が出たら紙の付箋または「Trello」などのカードに書き出してもらいます。
今すでにあるプラス面は何か?
何がプロジェクトの進行を遅らせるか?
やる気にさせるものは何か?
なお「セイルボート レトロスペクティブ」は、全員が平等に参加できているか確認することも大切です。もし話し合いを少数の人が支配しているようであれば、進行役が介入して他ほかの人に発言を求める必要があります。
付箋または「Trello」などのカードに書き出した回答を、グループ分けし、その内容についてグループで話し合ってもらいましょう。各グループの代表に5分でグループのアイディアを発表してもらい、その後全員でそのチームがどうしたらそのリスクを軽減できるかを検討してもらいます。その際、同じ部署だけでなく、複数部署のメンバーを入れるなど、多様な視点や視座を加えられるようにグループ分けを行なうのが理想です。また、データを集めるときは、十分な量のデータを集める必要があります。多くのデータを収集・共有することで、個人的な考えとしての認識でなく共通の理解を得られるでしょう。
ここからは、アジャイルコーチをディスカッションに加え、チームの推進力となる風、雲の項目を継続させるにはどうするべきかを話し合いましょう。次にリスクを軽減する方法を話し合い、そのリスクの中でも最も重大なものを選びます。もし意見がまとまらなければ、錨、岩の付箋に書かれた項目のうち取り組むべきだと思う項目にそれぞれが票を入れます。解決手段が決定したらレトロスペクティブを終了します。
振り返り会議を終了する際は、簡単に会議を要約するための時間を数分設けましょう。正式に終了することで、チームの時間と貢献を評価していることを伝えられるため、エンゲージメントを高める効果や共通認識の強化が期待されます。
システム開発・(インシデント対応含む)システム運用を行なううえで、レトロスペクティブを定期的に行なうことは重要です。「セイルボート・レトロスペクティブ」で振り返りを行なうことによって、参加者全員が当事者意識を持ち、スピード感を持って改善できます。
より円滑にレトロスペクティブを実践するために、PagerDutyでは「MTTA/MTTR・対応履歴・担当者の負荷状況」分析といったレトロスペクティブ支援機能を備えています。将来起こりうるインシデントを予防し、DevOpsチームの円滑なコラボレーションを実現しましょう。
システムが複雑化し、その変化も加速する中、システム運用を担う現場エンジニアの負荷は日々高まっています。
「インシデント対応」を例に、具体的に現場でどのような課題があるのかをご紹介。
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